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違法でない補正の効果が出願時に遡及しないことがある?
 商標登録出願の内容は、審査・異議申立の審理・審判・再審の各段階で補正(内容の補充・訂正・削除)をすることができます。

 例えば、出願時の指定商品「歯磨き・化粧品」を、審査中に「化粧品」と補正することができます。
 補正の効果は、出願時に遡って生ずるとされていますから、上記の例では、出願時から指定商品が「化粧品」のみであったことになります。

 一方、商標登録出願の分割(出願の一部を2以上の新たな出願とすること)は、異議申立の審理中はできませんが、審査・審判・再審の各段階に加えて「出願を拒絶すべき旨の審決に対する訴えが裁判所に係属している場合」もできるとされ、さらに、出願の分割によって補正が必要な場合は、新たな出願と同時にもとの出願の内容を補正しなければならないとされています。

 そうすると、例えば、審決時の指定商品が「歯磨き・化粧品」であり、「歯磨き」についてのみ拒絶理由が存する場合に、訴訟においてどのように対処すべきでしょうか。
 1つの対処法として、訴訟中には、補正だけを行うことができないため、出願を分割し、「歯磨き」について新たな出願をするとともに、もとの出願の指定商品から「歯磨き」を削除する補正をすれば、訴訟対象である出願の指定商品は、拒絶理由がない「化粧品」のみとなるので、裁判に勝てそうにも思えます。

 しかし、この対処法は危険です。
 「訴訟中において、分割出願と同時にした補正の効果は、出願時に遡って生ずることはない」旨の最高裁判決が出されました(最高裁平成16年(行ヒ)第4号同17年7月14日第一小法廷判決)。

 従って、上記の例では、補正後においても、裁判においては、審決時の指定商品が審理対象として維持されることになるので、裁判に負け、拒絶理由がない指定商品「化粧品」についても商標登録を受けることができなくなります。

 上記の例では、訴訟中に出願を分割し、「化粧品」について新たな出願をし、かつもとの出願の指定商品から「化粧品」を削除する補正をすれば、結局、裁判には負けますが、指定商品「化粧品」については商標登録を受けることが可能になります。
 商標登録出願の分割及びそれに伴う補正については、上記の点に注意が必要です。





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